いわき明星大ら共同研究グループ、抗HIVたんぱく質アクチノヒビン基礎的メカニズム解明に成功
HIV(エイズウイルス)感染を阻止できる新しいたんぱく質アクチノヒビン(AH)の研究を進めているいわき明星大薬学部教授の田中晴雄副学長(69)ら共同研究グループは、AHの立体構造と特異性質の解明に成功し、HIVの細胞への感染を選択的に阻止する新しい仕組みを明らかにした。研究成果は今週にも発刊される、総合学術雑誌として権威のある米国科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載されることになっている。AHの基礎的なメカニズムが解析されたことにより、実用化に向けて大きく前進する。田中副学長は1999年に、土壌微生物からAHを発見。同大の関口武司学長など教員や、在籍していた北里大の教員など15人の共同チームで構造解析を進め、作用機構が判明した。HIV表面にある、たんぱく質の一種「gp120」が持つ「糖鎖」と呼ばれる部分が免疫細胞に接着・侵入し、肺炎などさまざまな症状を発生させる免疫不全を引き起こす。AHはgp120の糖鎖と結合する性質を持っており、結合によってHIVの細胞への感染を阻止することが明らかになった。また、副作用の可能性も少ないことがわかり、より安全な薬剤の開発が期待される。
田中副学長らはAHが体内で効果を発揮するために橋渡し役となる誘導体の作成にも成功しており、ウサギを用いた実験で安全性を確認している。HIVはヒトのみが感染するため、今後はHIVと似た構造のサルエイズウイルス(SIV)の感染予防試験を本年度中に計画している。チームから試料の提供を受けたWHO(世界保健機構)は実施した予備評価試験の結果が良好で、興味を示しているという。
SIVの試験が成功した場合は、WHOとの共同開発を進めていく方針で、早期の実用化に向け、はずみがつきそうだ。田中副学長は25日、市役所で記者会見し、研究内容を説明した。「基礎研究がある程度終了し、メカニズムや安全な薬になることが分かってきた。予防、治療薬に向けて研究を展開し、いわきの地から世界へ向けて発信できるよう頑張りたい」と話した。
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