エイズ対策中間報告づくりが難航―東京都
「今回の中間報告案は、会議で聞いてきた委員の意見の内容に比べると、当たり障りなくまとめられている感じがする。初めて見た時の感想は『これまでのとどこが違うの』だった」(東京逓信病院院長の木村哲座長)。
東京都のエイズ専門家会議の中間報告づくりが難航している。同会議は10月15日、第3回会合を開き、これまでの議論をまとめた中間報告案が事務局から提出されたが、委員から加筆・修正を求める声が相次いだ。同会議は中間報告を30日の第4回会合で正式決定する予定だが、同案は「ノックアウト寸前」(事務局)となった。
同案は、「東京都エイズ専門家会議から都民への呼びかけ」という導入部分と、「エイズの疾病概念」「東京のエイズの現状」「東京の現状から浮かび上がる課題とエイズ対策の方向性」の3つの柱から成り立っている。
対策の方向性は、「エイズ及びHIV感染に対する正しい理解の促進」「感染拡大の防止」「陽性者への支援」の3つ。
「エイズ及びHIV感染に対する正しい理解の促進」については、幅広い対象への普及・啓発に引き続き取り組むべきとした上で、同性愛者など「個別施策層」に対しては、予防の必要性を認識する環境づくりを進めることができるよう働き掛けることが喫緊の課題としている。
「感染拡大の防止」では、早期の発見・治療に結び付けるため、新たな検査体制の構築や、知識・理解の普及、陽性者のフォローのための相談体制の充実などを挙げている。
「陽性者への支援」については、抗HIV薬の進歩で、治療を続けながら社会で活躍する陽性者が増えていると指摘。また、診療が入院から外来中心となり、通いやすい医療機関への需要が高まることや、陽性者の療養生活が長期化しており、各種福祉サービスの利用などの必要性が増すことを予測。陽性者が地域で必要な医療・福祉サービスを受けながら、長期にわたり安心して生活できる体制の構築を検討する必要があるとしている。
15日の会合では委員から、対策の方向性に「就労」や「教育」、「薬物」などの視点も加えるべきだとの意見が出た。
ねぎし内科診療所所長の根岸昌功委員は、陽性者らの就労が厳しい状況だと指摘した上で、「HIV感染者と共に働くという方向性を専門家会議として出しておく必要性があるのではないか」と強調した。
また、中野区立第十中学校の原美津子委員は、学校教育への方策が同案に触れられていないことを問題視。東京都立城東高等学校の神取豊夫委員も、「強い行政指導が入らないと、公立学校は動かないのではないか」と同調し、学校教育におけるエイズ対策などを盛り込むよう事務局に求めた。
最後に、木村座長が「専門家会議の意見として、もう少し過激に言っていいところはあってもいいと感じているので、忌憚(きたん)のない意見を事務局に寄せていただきたい」と述べ、取りまとめに向けた協力を求めた。
30日の会合で中間報告が正式決定されれば、11月にパブリックコメントを実施し、12月中旬に最終報告を取りまとめる運び。都は最終報告を踏まえ、エイズ対策推進計画(仮称)を3月下旬までに策定し、公表する予定だ。
引用:医療介護CBニュース
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