【インド万華鏡】エイズ問題 エリート層にも感染拡大
経済成長著しいインドで今も影を落とすのが、エイズの問題だ。インドのHIV(ヒト免疫不全ウイルス)の感染者数は昨年、従来の約570万人から約240万人へと大幅に下方修正された。これは推計方法が変わったためとされるが、これで問題が解決したわけではない。最近では所得の増加に伴い、実業家や政治家を相手にする高級コールガールも登場した。さらにインドのエリート民兵組織の兵士が多数、感染症のため死亡していたことがわかり、改めてこの問題の深刻さが浮き彫りになっている。
国連合同エイズ計画(UNAIDS)によると、インド国内の感染者は、15歳から49歳までの男女がほとんど。性交渉による感染が多いという。
インド政府の昨年の調査では性産業にかかわっている人は約300万人とされ、その多くが貧しさから売られ、ニューデリーなどにあるいわゆる「赤線」地帯で働かされている。
ところが、最近では、経済成長に伴ってインドを訪れる外国人ビジネスマンやインド人実業家、政治家を相手に、1時間で20万ルピー(約47万円)を稼ぐ高級コールガールも現れたという。
ロイター通信によると、こうした高級コールガールは全体の2、3%だが、ほとんどが中流家庭出身で高等教育を受けている。しかも、彼女らは売春をもうかるだけでなく、魅力的な仕事と考えているという。
このような高級コールガールが増えることで、これまでHIVとはかかわりがないと思っていた社会層に、感染が広がるとの懸念は強い。
一方、インドの保健医療情報サイト「Medindia」によると、インド内務省の管轄下にある民兵組織のアッサム・ライフル部隊の兵士500人が、HIVに感染していたという。
同部隊が展開するインド北東部は、国内でもとくに感染者の多い地域で、麻薬取引が多いことでも知られている。同部隊は170年以上の歴史を持つエリート部隊。それが過去10年で70人がエイズで死亡、今も500人以上が感染しているという。地元女性との性交渉が主な原因とされるが、麻薬の注射針の使い回しが感染を拡大したようで、エリート部隊のモラルの欠如を嘆く声は多い。
こうしたこともあり、統計上の下方修正に対し、実態とは異なるという批判は根強い。なかでも、感染者の割合が高いとされる男性の同性愛者が、社会的差別を恐れ、検査さえ受けていないことは長く問題視されてきた。
タイムズ・オブ・インディア紙によると、こうした状況を打開するため、同性愛行為を含む「自然の摂理に反する性行為」を禁じた刑法第377条の廃止をめぐる論議が、最高裁で行われることになったという。同条の廃止をめぐっては8年越しの論議が行われてきた。もし廃止されれば、感染の可能性があっても黙っていた人々が検査や治療を受けられるようになると、関係者は期待する。
引用:産経新聞
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